「渾身の記事を書いたのに、SNSでシェアしても誰もクリックしてくれない……」
もしあなたがそんな悩みを抱えているなら、原因は記事の中身ではなく、その「パッケージ(見た目)」にあるかもしれません。
Web制作やマーケティングの現場にいると、素晴らしいコンテンツを作っているのに、SNSでのシェア設定(OGP)がおろそかになっているケースを本当によく見かけます。これは、美味しい料理を作ったのに、中身の見えないボロボロの箱に入れて売っているようなものです。
今回は、Webマーケティングのプロフェッショナルな視点から、SNSシェアのクリック率(CTR)を劇的に変える「OGP」の重要性と、SEO(検索エンジン最適化)との知られざる関係について、技術的な側面も含めて解説します。
これは単なる「設定」の話ではありません。あなたのコンテンツを、ユーザーに「選ばれる存在」にするための、重要なブランディング戦略です。
OGPとは何か? デジタル空間における「名刺」の役割
OGP(Open Graph Protocol)とは、FacebookやTwitter(X)、LINEなどのSNSでWebページがシェアされた際に、そのページのタイトル、画像、説明文などを正しく伝えるための仕組みです。
もしOGPを設定していなければどうなるでしょうか。 SNSのプラットフォーム側は、ページ内からランダムに画像を拾い上げ、テキストの冒頭を勝手に切り取って表示します。結果、意図しない画像が表示されたり、文章が途中で切れて意味不明になったりします。
ユーザーは、タイムラインを高速でスクロールしています。その中で、「画像がない」「何の記事かわからない」投稿に指を止めるでしょうか? 答えはNOです。
OGPを設定するということは、SNSという巨大な交差点に、美しくデザインされた「看板」を立てることと同義です。「この記事は有益ですよ」「面白いですよ」と、視覚的にプレゼンテーションを行うための、最初にして最大のチャンスなのです。
SEOとOGPの「意外な」関係
「OGP設定はSNSの話でしょ? SEO(Google検索順位)には関係ないのでは?」
そう思われる方も多いかもしれません。確かに、OGPタグ(metaタグ)そのものは、Googleの検索順位を決める直接的な要因(ランキングシグナル)ではありません。
しかし、間接的には非常に深く関わっています。より専門的なWebマーケターの視点では、以下のプロセスでSEOに効いてくると考えます。
OGPを設定する
SNSでのクリック率(CTR)が上がる
サイトへの流入数(トラフィック)が増える
多くの人の目に触れることで、被リンク(サイテーション)を獲得する機会が増える
結果として、ドメインの権威性が上がり、検索順位が向上する
また、Googleの「Discover(発見)」機能などでは、魅力的な画像を持つ記事がピックアップされやすい傾向にあります。OGPで高画質な画像を指定しておくことは、検索エンジン以外のGoogleからの流入経路を確保する上でも、非常に重要なのです。
OGPの「三種の神器」:ここだけは押さえる
OGP設定において、最低限これだけはこだわってほしいという「三種の神器」があります。
1. og:title(タイトル)
記事のタイトルです。ポイントは、HTMLのtitleタグと同じにする必要はないということです。 SEO向けのタイトルは検索キーワードを意識して少し堅苦しくなりがちですが、SNS向けのog:titleは、より感情に訴えかける、クリックしたくなるようなキャッチーな表現にするのも一つの戦略です。
2. og:image(画像)
最も重要な要素です。人間は文字情報の何倍もの速さで画像を認識します。 推奨サイズは1200px × 630pxです。この比率(1.91:1)で作っておけば、FacebookやX(Twitter)のラージカードで綺麗に表示されます。 画像の中央にタイトル文字を配置し、端が切れても意味が通じるようにデザインするのがプロの鉄則です。
3. og:description(説明文)
タイトルの下に表示される短い説明文です。 「この記事を読むとどうなるのか(ベネフィット)」を、80文字〜120文字程度で簡潔にまとめましょう。スマホでは後半が省略されることが多いので、重要なことは冒頭に書くのがコツです。
Twitterカード(X)の設定も忘れずに
日本国内において、拡散力が最も強いSNSの一つがX(旧Twitter)です。 OGPとは別に、twitter:cardという設定が必要です。
summary:画像とテキストが横並びになるタイプ
summary_large_image:画像が大きく表示されるタイプ
Webマーケティングの観点からは、圧倒的にsummary_large_imageをお勧めします。画面占有率が高く、視覚的なインパクトが段違いだからです。
設定したら必ず「デバッグ」する
設定して終わりではありません。必ず各プラットフォームが提供している「デバッグツール(Validator)」を使って、実際にどう表示されるかを確認してください。
Facebook シェアデバッガー
X (Twitter) Card Validator
キャッシュが残っていて古い画像が表示される場合も、これらのツールを使えば情報を更新(Scrape Again)できます。 「投稿してから画像がおかしいことに気づく」という失敗は、ブランドの信頼性を損なうため、絶対に避けたいところです。
細部に宿る「おもてなし」の心
OGP設定は、技術的な作業のように見えて、実はユーザーへの「おもてなし」です。
「このリンク先には、あなたにとって価値ある情報がありますよ」と、分かりやすく、美しく提示すること。その配慮が、ユーザーのクリックという行動を引き出し、最終的にはWebサイトの成果(コンバージョン)へと繋がっていきます。
たかが画像、されど画像。 SNSという広大な海で、あなたのコンテンツを見つけてもらうために、最高の「看板」を用意しましょう。