OGP設定とSNSの表示 SEOとの関係は?

 OGPを設定しないとどうなるのか。このテーマは、ホームページ運営をしている人なら誰にとっても無関係ではありません。デザインやSEOはしっかり考えていても、SNSでシェアされたときの見え方まで意識している人はまだまだ少ないのが現実です。けれど実は、そこが抜け落ちているだけで、せっかく作り込んだ記事やページの印象がまるで変わってしまうのです。


たとえばあなたが新しいサービスを紹介するページを作ったとして、それをSNSでシェアしたとします。もしOGPを設定していなければ、SNS側のシステムがあなたのページの中から「タイトル」「説明」「画像」を自動的に抽出します。この抽出は完全にアルゴリズム任せで、意図した要素が表示されるとは限りません。ページ内の最初の画像がバナーだった場合、それが大きく拡大されて表示され、まるで広告のように見えてしまうこともあります。


タイトルも同様で、長めのタイトルは途中で切れてしまい、文意が伝わらなくなります。説明文も本文の冒頭がそのまま引っ張られてくるため、前後関係がわからない断片的な文が表示されることがあります。つまり、OGPを設定していないと「SNS上での第一印象」が完全にコントロールできなくなるのです。


SNSは、ほとんどが「流し見」の世界です。特にX(旧Twitter)やFacebookのタイムラインは、次々に新しい投稿が流れていきます。その中でクリックしてもらうためには、一瞬で目を引くビジュアルとキャッチコピーが不可欠です。OGPを設定しておけば、SNS上での投稿にきれいな画像と明快な説明を添えられるため、クリック率(CTR)が大幅に変わります。つまり、同じ記事でも、OGPがあるかないかで、見られ方がまるで違うのです。


OGP(Open Graph Protocol)とは、SNSに対してページ情報を伝えるための仕組みです。Facebookが開発した仕様ですが、現在ではX(旧Twitter)、LinkedInLINESlackなど多くのプラットフォームが対応しています。HTMLの中に「このページのタイトルはこれ」「この画像を使って」「この説明を表示してほしい」といった情報を事前に埋め込むことで、SNS側がそれを読み取り、リンクカードを生成します。


では、実際にどう設定すればいいのか。コードを直接書く必要はありません。WordPressであれば、OGPを簡単に設定できるプラグインが複数存在します。代表的なのが「All in One SEO」や「Yoast SEO」、「Rank Math」などです。これらのプラグインでは、記事ごとにOGP用のタイトル・説明文・画像を指定できます。管理画面の投稿編集画面の下に「SNS設定」や「ソーシャル」などの項目があり、そこに入力すればOKです。


OGPを設定する際のポイントは、「SNS上でどう見せたいか」を明確にすることです。ホームページのメインタイトルやディスクリプションをそのまま使うのではなく、SNSでクリックしたくなるような表現に変えるのが理想です。検索エンジン向けのタイトルはやや情報的で構造的ですが、SNSでは感情や期待感に訴える方が効果的です。たとえば「ホームページ制作の流れ」よりも「たった5分でわかる!失敗しないホームページ制作の進め方」のように、読者の関心を引く書き方を意識することが大切です。


画像も同じです。OGPで指定する画像は「アイキャッチ画像(OG Image)」とも呼ばれます。ページ内容を象徴するビジュアルであることが基本ですが、SNSで埋もれないようにするには、単なる写真よりもテキスト入りのビジュアルが効果的です。例えば、タイトルの一部やキャッチコピーを画像内に重ねることで、投稿を見た瞬間に内容がわかるようにしておくとクリックされやすくなります。


また、SNSごとに推奨される画像サイズが異なります。Facebookでは1200×630ピクセル、Xでは1200×675ピクセルが推奨されています。LINEやSlackなども基本的にはこの範囲で問題ありません。縦長や小さい画像だと上下が切れてしまうことがあるため、横長の構図で中央に重要な要素を配置するのが無難です。


OGPを設定した後は、必ずSNS側でプレビューを確認しましょう。Facebookには「シェアデバッガー」、Xには「カードバリデーター」という確認ツールがあります。これを使えば、指定した情報が正しく読み取られているか、どんな見え方になるかを事前にチェックできます。キャッシュが残って古い情報が表示されることもあるため、修正した後はデバッガーツールで再取得しておくと安心です。


次に、実務でありがちな落とし穴についても触れておきます。よくあるのが、WordPressでOGP設定をしているのに、実際にはテーマや別のプラグインが同じタグを出力していて競合してしまうケースです。OGPタグが二重に出ていると、SNSがどちらを優先するか分からず、結果として意図しない情報が表示されます。対策としては、プラグインを1つに統一し、他のOGP関連機能を無効化しておくこと。テーマがすでにOGP出力に対応している場合は、プラグインでの出力をオフにするのが確実です。


さらに、OGPは一度設定して終わりではありません。SNSの仕様は定期的に変わるため、数か月に一度は表示テストをしておくことをおすすめします。特にFacebookはキャッシュが強く、古い画像や説明文を表示し続けることがあります。記事をリライトしたときは、必ずOGPも更新しておきましょう。リライトのタイミングでSNS上の情報を再キャッシュさせることが、ブランドの印象を維持するうえで重要です。


もうひとつ重要なのが、OGPのメンテナンスとGoogleのSEOの関係です。OGPそのものは検索順位には直接関係しませんが、SNSからの流入を増やすことで間接的にSEO効果を高めます。特に記事が拡散されて被リンクを獲得するケースでは、SNSシェア時の見た目が大きく影響します。クリックされやすいビジュアルとテキストを設計しておくことは、長期的に見てもSEO施策の一部と考えるべきです。


そして、OGPとよく混同されるのが「リッチリンク(リンクカード)」です。両者は密接に関係していますが、意味は異なります。OGPは「SNSに伝えるためのHTML内のルール」であり、リッチリンクは「SNS上で表示されるカード型の見え方」のことです。

OGPが正しく設定されていなければ、リッチリンクもきれいに表示されません。逆に、OGPを丁寧に設定しておけば、SNSのタイムラインで自社ページが美しく表示され、自然とクリックを誘発します。

SNSでの発信が増えるほど、OGP設定の重要性は増していきます。たとえばXでは、投稿の中にURLを入れるだけで自動的にリンクカードが生成されますが、このときの見え方次第で、投稿の反応が倍以上変わることもあります。Instagramのようにリンクカードが使えない媒体であっても、プロフィールリンクやDMで共有されたときにはOGPの情報が参照されます。つまり、SNSをビジネスで活用するなら、OGPは欠かせない基礎設定なのです。

OGPを設定しないままSNSにURLを投稿すると、画像が出ない、タイトルが途中で切れる、説明文が不自然になる、といった見た目の問題が起こり、クリックされにくくなります。反対に、しっかりOGPを設定すれば、魅力的なビジュアルとコピーで投稿の印象を整え、クリック率を高め、SNS経由のアクセスを安定させることができます。

ホームページがどれだけ美しく、SEO的に強くても、SNS上での見せ方が雑だとその魅力は半減します。OGPは「検索ではなくSNSから見つけてもらうための名刺」のようなもの。ホームページの印象をコントロールし、ブランドの価値を正しく伝えるための最初の一歩が、このOGP設定なのです。


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